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2015年8月

2015年8月13日 (木)

先生の名言集 ― 広中平祐先生 その2

  

頂上に近づくほど目標は見えなくなる

 一般に創造活動をするうえで、山の頂上が見える前に、何年たってもラチがあかない、というので投げ出してしまうのが、一番いけない。

 できあがった学問を習得する場合は、進歩がかなりはっきり自覚できる形で直線的に伸びていくから張り合いもあるのだが、創造活動というのはまったく違って、長期間低迷し、何も見えず、すっかり打ちひしがれたときに、ある日突然パッと光明が見えて飛躍するという形が多い。だから、何も見えない状態のところでやめてしまうと、それまでの成果は完全にゼロになる。

(略)
 だから途中でやめる、というのはまったくばかげたことだが、そういう研究者がたくさんいる。なぜ、ほとんどの研究者が創造的でないかと言えば、彼らが結局、途中で山を下りるからだ。
 創造的な人間というのは、非常な強引さをもっている。100メートル手前では絶対にやめない執念をもっている。ところが情熱の弱い研究者は、絶えず途中で挫折してしまう。それはなぜか。
 一つには、山は頂上に近づくほど、頂上が見えにくい状態になってくることがあるからだ。雲におおわれたり、深い木立ちにかくされたりする。つまり、目標は、達成する直前にいちばん見失うことになりがちなのだ。
 先にも述べたとおり創造活動は、決して直線的な進み方をしないもので、上り坂のこともあれば、下り坂のこともある。長いトンネルを掘っていくようなもので、向こう側に光がポッカリ見えるところまで進まなければ、成果はゼロである。それがたいていは、下り坂になってきたところで投げ出してしまうことになる。

 創造ということは、非常に粘りと勇気のいるものなのだ。


     ご著書『可変思考』より


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                   平成22年(2010) 8月28日 座談会時の広中先生

2015年8月10日 (月)

先生の名言集 ― 広中平祐先生 その1

 創才セミナーに関わる先生方が語る、学習のコツ、生きる知恵についての名言を集めました。
 初回は、当会名誉顧問である広中平祐先生のお言葉です。
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 僕の場合は、母も父も小学校しか行ってないので、自分達に知恵がないと思い込んでいた。それが僕にとって非常に助かったんです。
 今から考えるとトンチンカンでもあるんだけれども、風呂の湯船に手を入れると、手が軽くなりますよね。「なぜ軽くなるんだろう」と母に訊くと、「手のことだったらお医者さんだろう」といって、僕を街のお医者さんのところへ連れて行くんですよ。田舎だからお医者さんが忙しくない時もあって、「おもしろい質問じゃないか」と、いろんな話をしてくれる。で、わからないながらも「おもしろい話聞いたな」と思って帰って来る。それから、「幽霊なんてあるんでっかなあ。」と言ったら、「それは一回お寺に訊いて見よう。」それでお寺に連れて行く。お寺のおばさんも「おー、おもしろいやっちゃ」と話をしてくれるわけです。
 僕の場合は、親が「自分が無知だ、知識がない」、ということをはっきり知っていて、助かったんです。
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   平成22年(2010) 8月28日、第五回全日本小中学生創才セミナー期間中に行われた
**********
 母に学んだことがある。
 ものを考えることは、考えることそのものに意味がある、価値がある、ということだ。
 子供の頃は誰しもそうだろうが、私も母に、いろいろなことをたずねた。
(略)
いろいろな質問をしたが、母はまず答えられたためしはなかった。
 しかし母は「わからない」とはいわなかった。「そんなこと、たいしたことじゃないけ、考えんでええ」と、うるさがることもなかった。
「さあ、どうしてじゃろうなあ」
と母が首をかしげると、また私が質問した。
「どうしたらわかるじゃろうか」
すると母は、
「大きくなって勉強したらわかるようになるんよ」
といいながらも、一緒に考えこんでくれるのである。ところが、考え込んでも答えはいっこうに見つからない。すると母はどうするかというと、私を連れて近くの神社の神主さんの所にいくのである。あるいは、懇意にしている医者の家を訪ねるのである。
 (略) この子がこんなことをたずねているのだが、ひとつ説明してやってください、こういって母は頭を下げるのだ。おかげで私は、よくわからないながも、ともかく答えを得ることができた。
 このような経験をくり返すうちに、私は子供心に、ものを考えることは考えること自体に意味がある、ということを知ったのである。
 母は私に、考えることの喜びを身をもって教えてくれたのだ。学者としてだけではなく、一人の人間としての私にも、このことは何にも代えがたい精神的財産となった。
**********
  ご著書『学問の発見』(後に『生きること 学ぶこと』と改題) より
   (文章に一部手を加えてあります)


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 平成22年(2010) 8月28日 座談会風景
 一番奥の椅子に座っているのが広中先生

2015年8月 7日 (金)

ニュース : 広中平祐先生、創才セミナーご出席決定!

 当会名誉顧問で日本を代表する数学者である、広中平祐先生が、8月23日(日)開催の「算数・数学を楽しもう! 第10回記念 南北海道創才セミナー」にご出席されることが決定しました。
 広中先生は、ハーバード大学や京都大学で研究され、フィールズ賞 (数学界の最高の賞) や文化勲章を受章されました。その一方、若い世代の才能を伸ばすための教育活動にも早くから熱心に取り組まれて来ました。
 「創才セミナー」もその一つで、「創才」という言葉を創ったのも広中先生です。
 平成18年(2006)の第一回 全日本小中学生創才セミナーから平成22年(2010)の第五回まで、毎年大沼の会場に来場されていました。
 今回のご来場は、2013年に広中先生の郷里の岩国市で開催した「創才セミナー岩国」の関係者と共に、南北海道創才セミナーを視察されるためのもので、5年ぶりとなります。
 当日は、広中先生から参加者のみなさんにご挨拶をいただく予定です。

 広中先生は、柔軟な発想力や生きる知恵が豊かで、その上きさくで情に篤い方です。そのような先生に多くの方々が間近で触れていただければと思います。
 「算数・数学を楽しもう! 第10回記念 南北海道創才セミナー」
 詳細とお申し込みはこちらから 
 
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 (写真は、平成22年(2010) 第五回 全日本小中学生創才セミナーで講演される広中先生)

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